$0<1.$
環について
前回 の続きであり, 環の諸性質については断りなく使う.環の定義
$0<1$ を証明するには, まずは各要素同士に順序が定義されなければならない.
そこで, 前回の環に順序を導入した 順序環 (ordered ring) を仮定しよう.
順序環
零環でない環 $R$ に対して閉じた演算 $\leq$ が定義されていて, $R$ の任意の要素 $x,y,z$ において次の性質を満たすとき, $R$ を順序環という.- $x\leq x,$ (反射律)
- $x\leq y, y\leq z\Longrightarrow x\leq z,$ (推移律)
- $x\leq y, y\leq x\Longrightarrow x=y,$ (反対称律)
- $(x\leq y) \lor (y\leq x),$ (完全律)
- $x\leq y \Longrightarrow x+z\leq y+z,$
- $0\leq x, 0\leq y \Longrightarrow 0\leq xy.$
$0\neq 1$ について
$0=1$ と仮定すると, $x=1x=0x=0$ よりただ1つの要素 $0(=1)$ から構成される環 (零環) になる. これは逆も成立する ($R$ が零環 $\Longrightarrow 0=1$) が, 今回はそのような環を除外することにした.順序 $<$ について
$a\lt b$ は $a\leq b$ かつ $a\neq b$ を意味する.準備 (補題)
補題1
$R$ の任意の要素 $x$ において, $x\le0\Longrightarrow 0\le-x.$証明
公理6 より, $x\le0\Longrightarrow x+(-x)\le0+(-x) \Longrightarrow 0\le-x.$■
補題2
$R$ の任意の要素 $x$ において, $0\le xx.$証明
公理4 より, $0\le x$ または $x\leq0$ が成立する.-
$0\le x$ のとき, 公理6より $0 \le xx.$
-
$x\le 0$ のとき, 公理1より $0\le-x$ であるから, 公理6より $0 \le (-x)(-x).$
$-x(-1)(-1)=1$ なので, $(-x)(-x)=xx.$
■
ここでの $xx$ は勿論 $x^2$ と等しい. すなわち $0\lt x^2.$
いよいよ証明!
定理
$0<1.$証明
補題2より, $0\le1\times1=1.$ 定義より $0\neq1$ であるから $0<1$ である.■
証明完了!